パイプオルガン奉献5周年記念によせて 大串肇牧師
2017年春、新礼拝堂とともに悲願のパイプオルガンを新礼拝堂に設置して5年が経過しました。入管手続きに加え、オランダからライル社の職人をお迎えし、約1か月間の施工・調整期間を送迎からホテル宿泊、滞在期間中の食事や接待まで、全てオルガン員会の方々がご準備して下さいました。折衝には英語やドイツ語で助けてくださる教会員有志も含め、ほんとうに教会員の皆様の熱意とご努力に心から感謝致します。
かつてわたしは旧東ドイツのルター派教会との交わりを得られ、ライプツッヒを訪問しました。ルター派でもあるバッハの教会、聖トーマス教会牧師のヴォルフ先生はかねてから知り合いでした。またもう一つのニコライ教会のスティーフ牧師ご夫妻と親しく交流することが出来ました。旧東ドイツのルター教会が特にバッハの音楽によって復興途上にある中で果敢に伝道する様子をまざまざと体験し、帰国後はその一端を皆様にもご紹介しました。
宗教改革者ルターとバッハは切っても切れない深い関係です。というのは宗教改革とは「礼拝」の本質にかかわる変革だったからです。日本人にとって、この2人の人物は大変影響力を持っています。特にバッハはファンが多いことで知られています。しかし、その音楽がルターのプロテスタントの信仰と深く結びついていることを知っている日本人は多くはありません。そこで新礼拝堂にパイプオルガンを設置することによって、音楽による聖書の福音の伝道の可能性が広がることを確信した次第です。これがわたしがルターとバッハにこだわる所以です。
設置後は、ご承知のように、国内外で活躍される一線級のオルガニストや他の優れたソリストや合唱団をお呼びし、音楽礼拝や教会コンサート等を開催し、大勢の地域の方々のみならず教会音楽に関心のある方々が仙川教会にいらしました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行によって、このような音楽伝道の計画は中止せざるを得ませんでした。ようやく通常の礼拝の中で賛美をすることが可能になってきた状況です。いずれは以前のような音楽伝道も再開されると思います。そのような中で昨年のクリスマス以降、少しづつではありますが礼拝の時に音楽奉献としてバッハの有名な作品を演奏していただくようになりました。
この度は、当初からオルガン設置についてご助言をいただいていた、ルーテル学院大学オルガニストの湯口先生を奏者としてお招きしてペンテコステの礼拝をお捧げすることが出来ますことを心から感謝いたします。先生はオルガン設置後はじめて当教会における本格的な音楽伝道礼拝にご奉仕くださった他、トランぺットとのコラボでクリスマスコンサートをしてくださいました。今回は仙川教会を応援してくださる意味でご奉仕を申し出てくださいました。特に、礼拝後には音楽奉献として、バッハのオルガン曲の中で最も有名な作品の一つを演奏してくださいました。今後もライル・オルガンを用いて地の果てまで福音を宣べ伝えてまいりたいと願っています。